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香川県高松市
 ~満腹アーケードから殿の絶景へ編~

みなさんこんにちは。
リンスタ社会科担当の白井です。

丸亀駅から予讃線の電車に揺られ、高松駅へと向かいます。車内は夏休みの中高生らしき若い人たちでまあまあ混雑していました。きっと地域の中心都市へ遊びに行くところなのでしょう。若者が賑やかなところに集まるというのは、そこでも変わらないようですね。なんとなく活気を感じる電車に揺られることおよそ30分、電車は終点の高松駅に到着しました。高松駅は行き止まり式のホームになっていて、いかにも終着駅という感じの佇まいです。その昔はこの先の港から宇高連絡船が出ており、本州へと向かう人たちで賑わっていたことでしょう。現在の高松駅は、それとは別の賑わいがあるようです。

高松駅に着いたのは11時半くらいだったんですけど、丸亀城でエネルギーを使ったせいか、かなり空腹を感じていました。そこで、まずはお昼ごはんを食べてから街歩きをすることにしようと、駅から10分ほど歩いたところにある武内食堂さんへ向かうことにしました。
香川県のグルメといえば、多くの人は「讃岐うどん!」とこたえるでしょう。香川県への手紙は、「うどん県」と書いても届くらしいですからね。しかし、以前に高松に来たときに、讃岐うどんは複数の店でいただいているので、今回はうどん以外のものを食べようと思ったのです。そこで思い浮かんだのが、テレビ番組で見た高松のソウルフード〝かしわバター丼〟! 醤油とバター、さらにニンニクなどで炒めた鶏肉(かしわ)をご飯の上に山のように乗せた丼物は、今の空腹にピッタリです。武内食堂さんは、そのかしわバター丼発祥のお店なのですよ😋

店の前に着くと大きなダクトからいい香りが漂ってきて、一気に空腹感が増していきます。まだお昼前だったので幸い空席があり、席についてメニューを見ることもなくかしわバター丼をオーダーしました。カウンターの中では、調理担当の方がひとりで汗だくになりながら、フライパンで鶏肉を炒めています。配膳担当の方々も、忙しく立ち回っています。活気のある昔ながらの食堂って感じで、まずはこの雰囲気に満足です。
・・・しかし、ひとつ問題が!
古い店舗であるせいかどうかはわかりませんが、店内はあまりエアコンが効いていません。しかも、私が座った席は調理台の近くだったので、その熱気も伝わってきます。ほどなくして目の前に運ばれてきた丼は、予想していたよりもずっと大きなサイズ。たぶん、普通の店ならば大盛りとなるサイズでしょう。食べきれるかどうか不安になりましたが、一口食べてみてその不安は吹き飛びました。ピリッとした胡椒の刺激に食欲もそそられ、男気あふれる一杯を汗だくになりながら完食しました。

満腹になったところで、次の目的地である「栗林りつりん公園」へ向かいます。
このまま南へ30分弱歩けば着くのですが、私はあえて東へ進路をとります。

歩き始めて程なく、「兵庫町」と書いたアーケードが見えてきました。そのまま進み、国道を渡って5分ほど歩くと、上がドーム状のガラス張りになっている丸い形の広場に出ました。ここ「丸亀町ドーム」は、3つの商店街の交差点のような場所になっており、ここから東・西・南へと商店街が伸びています。最初の地図中に赤い線で示した商店街の総延長は約2.7kmもあり、ここは日本一のアーケード商店街なのです。
ちなみに「丸亀町」というのは、約400年前に丸亀市から町人が移住してきてできた町であることから付けられた地名だそうです。見事に午前中の丸亀とつながりましたね。

この商店街は人通りも多く活気があります。ちょうどお昼時ということもあり、通り沿いにある讃岐うどんのお店にはあちこちで長蛇の列ができていました。並んでいるのは観光客というよりも、地元の会社員風の人たちばかり。讃岐うどんは「手早く安くて美味い昼食を」という、働く大人たちの日常に溶け込んでいるんですね。さすが「うどん県」です。
大人たちの行列の隣には、楽しそうに行列を作っている部活帰りの高校生グループがいます。うどん屋さんが隣接してるのかと思いきや、なんと、彼らのお目当ては全国チェーンの油そばのお店! やっぱり、若い世代はガッツリ系のほうがいいんでしょうね(笑)

賑やかで楽しい商店街を通り抜けるだけでは面白くないので、一度立ち止まって地図を確認してみます。すると、この周辺になぜか「井戸」という文字がいくつも散見されることに気づいたのです。ただ、実際に井戸が残されているところは1つしかないようで、少しだけ商店街を逸それてそこに寄り道してみることにしました。

商店街の喧騒けんそうから少し離れた静かな一角に、大井戸水神社はひっそりと佇たたずんでいました。ここには、かつて高松の人々を潤した井戸が今も大切に残されています。
しかし、ここでひとつの「?」が頭をよぎります。
目と鼻の先には瀬戸内海が広がっているこのエリア。普通、海のすぐ近くで井戸を掘れば塩水が出てきてしまうはずです。なぜ、海に近いこの場所に淡水の井戸が存在しているのでしょうか?
思い出したのは、午前中に見た丸亀城からの景色。讃岐平野といいながら意外に山が多かったんですよね。そこで、地図アプリを開いてこのあたりの標高を調べてみることにしました。今いる場所は海抜3m。そこから南の方角に目を向けてみると1.5㎞ほど南には7m、さらに1㎞ほど南には12mの表記がありました。高松の街は南へ行くほど標高が高くなっているため、南から海のほうへ向かって少しずつ下っているようです。さらに広い範囲で見てみると、南から北へ流れるいくつかの川と、その南にある山々が目に入ります。このことから考えると、高松市街地は、川によってできた扇状地のような地形の先端になるということですね。南から流れてきた地下水が、ちょうど高松の市街地のあたりで湧き出しているのでしょう。

のんびりと散策しながら約1時間歩き、国の特別名勝「栗林公園」に到着です。
美しい庭園を…と行きたいところですが、アーケードを出てから1㎞ほど日差しの下を歩いたことで、再び私のライフゲージは点滅を始めていました。まずは園内にある冷房の効いた休憩スペースへ直行。しっかりと体温を下げてから庭園へ出発です。

栗林公園は、江戸時代に高松藩の歴代藩主が長い年月をかけて造り上げた、広大な回遊式庭園です。フランスの旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』では、最高評価の三つ星を獲得しているそうです。背後にそびえる紫し雲山うんざんを借景に取り込み、池、築山、松が見事に配置された風景は、どこから見ても見事です。一歩歩くごとに風景が変わるその美しさは「一歩一景」という言葉で表されるそうです。特に飛ひ来峰らいほうという小高い丘の上から見下ろす、三日月型の偃月えんげつ橋きょうと池、借景の紫雲山とのコントラストは、ため息が出るような美しさでした。
園内では、何人かの作業服を着ている方を目にしました。おそらく庭園の整備をされている職人さんでしょう。これだけの規模の庭園を美しく維持し続けるのがどれだけ大変なことか・・・。庭園の美を支える職人さんたちの技術と努力に、ただただ脱帽です。

偃月橋の近くのお店で冷たい甘酒をいただいてエネルギーをチャージし、ことでん(高松琴平電気鉄道)に乗って本日最後の目的地、高松城(玉藻公園)を目指します。

駅のホームで待っていると、どこかで見たことがある電車がやってきました。この電車はもともと京急の車両。首都圏の電車が地方で再利用されるというのはよくあることです。先日乗った長野電鉄の車両もそうでしたね。
車内に乗り込むと、学生やお年寄りなどほとんどが地元の方々のようです。地域の人々の暮らしにしっかりと根付いている生活の足なんだなぁと実感しながら、ガタゴトと電車に揺られること十数分。終点の高松たかまつ築港ちっこう駅に到着しました。

ホームに降り立って驚いたのが、駅のすぐ脇に立派な城の石垣が迫っていることです。ホームと石垣がここまで近いのはなかなか珍しいのではないでしょうか。

改札を出て、高松城へと入城します。高松城は、愛媛県の今治城、宇和島城と並び「日本三大海城うみじろ」のひとつに数えられる城です。園内に入って先に進み、右に折れたところに「水みず手て御門ごもん」という門がありました。説明板を読むと、この門は扉を開けるとそのまま海へと直接出られる構造になっており、かつては藩主が船で直接出入りしていたそうです。城から直接海に出られるなんて、さすが海城ですよね。

水手御門に行く途中にガチャガチャが置いてあり、魚のエサが売っていました。鯉のエサやりは、子どものころに何度かしたことがありますが、大人になってからは記憶にありません。今回もそのまま通り過ぎようと思っていたのですが、そこに立っている幟のぼりに「鯛願城就」という見慣れない文字が! 横の看板をよく見てみると、そこには「鯛のエサやり体験」と書かれていました。すっかり鯉だと思っていたのですが、よく考えてみれば海に面した城です。堀に引き込まれているのは海水だったんですね。
これはやってみるしかないでしょう。鯛のエサやりなんて人生初の体験です(笑)。さっそくエサを購入し、お堀へ投げてみたのが下の動画です。バシャッと音を立てて豪快に食いつく鯛たちの姿を眺めながら、予期せぬおもしろい体験を楽しみました。

その後は、国指定重要文化財である「披ひ雲閣うんかく」とその庭園へ。
・・・が、正直なところ私の中ではなんかイマイチなのです。おそらく栗林公園をじっくり堪能してきたばかりだったため、目が肥えすぎてしまったのだと思います。「見る順番って大事だな…」と痛感いたしました(笑)

気を取り直して、堀に架かる珍しい屋根付きの橋「鞘橋さやばし」を渡り、本丸の天守台へと向かいます。

かつて天守がそびえていた石垣の上へと上っていくと、周囲をぐるりと見渡すことができました。現在、高松城に天守そのものは残っていません。しかし、天守台の上に立つと城全体の広大さや石垣の重厚さがダイレクトに伝わってきて、かつて四国の玄関口を守っていた巨大な城のスケール感を十分に感じ取ることができました。・・・が、それ以上に高松駅付近の高層ビルが目立ったのは忘れることにしましょう(笑)

高松駅へと戻り、快速マリンライナーに乗り込みます。進行方向左側の席に着き、西日に輝く瀬戸内海の景色を堪能しながら帰路につきます。

丸亀城の急坂で汗を流し、日本一の商店街を散策。庭園の美に感動して、最後は鯛にエサをやる。バラエティに富んだ経験ができた夏の一日は、しっかりと私の記憶に刻まれました。たぶん足の筋肉にも・・・(笑)

「?」はきっとそこにある
「?」を知ればおもしろい!
みなさんも身近な「?」を見つけて楽しんでみてください。

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