内田幸仁(うちだゆきひと)

【夏のたわむれ②】

2023.09.20

前回の【夏のたわむれ①】で皆さんに紹介した中学1年生の作品へのフィードバックです。
全体的に「景」が見えない作品が多かったので、今回は「添削」ではなく「転用」という作戦をとりました。
中学1年生の気持ちになり、「景」を広げて返却することで、生徒たちの言葉の具体・抽象、イメージ喚起力を鍛えることが狙いです。それでは前半、いってみましょう!

①友達が あっ!と指した モール前 ノースリーブの 先生現る
⇒モール前 雰囲気違う 先生の ノースリーブと 隣の彼氏

※この歌のポイントは、いつもと違う先生の様子。夏休み、暑い陽気に誘われて先生も普通の人になります。その落差が大きければ大きいほど面白くなるので、勝手に彼氏を付け足しました。普段は厳しい先生の「人間らしさ」が垣間見える一瞬。これも夏の特権ですね。

②夏の夜 夜空に輝く 一等星 ふと思い出す 貴方の笑顔
⇒一等星 同じ輝き 昼も見た 隣のコートの あなたの笑顔

※美しい夏の夜空。そこに光る一等星。同じように輝く貴方。中学1年生とは思えない大人の歌です。でも、その笑顔はどんなときの笑顔だろう。ただ、顔が整っているだけ?歯が真っ白なだけ?そこに輝く「あなたの瞬間」を付け加えてみました。

③部活後の 汗かくコップの 氷水 与えるべきは 光る三ツ星
⇒部活後に 青く輝く 氷水 「もうこれミシュラン!」 家族が笑う

※うーむ。深いですねえ。汗かくコップの擬人法。そしてそれは三ツ星のおいしさ。わかります。でも、ふと思う。コップが汗かいてるってことは、誰かが作って用意してくれてたんだよね。その家族の姿、そして氷水を三ツ星と表現した愉快さを広げました。

④猛暑日の 河川敷で 試合4時間 ただひたすらに アクエリ欲す
⇒猛暑日に 買ったスポドリ 500ml 甘さの前に 冷たさを飲む

※こちらは、「猛暑日」「河川敷」「アクエリ」などの言葉からで、運動部男子のイメージが生じます。ただ、「河川敷で」と「アクエリ欲す」の6音が微妙にリズムを崩してしまっています。「買ったスポドリ500ミリ」と音を揃えることで、気の急く様子も表しています。

⑤夏期講習 エアコンきいた この部屋で 毎日机と にらめっこ
⇒エアコンの きいた部屋での 夏期講習 急な指名に 冷や汗をかく

※素直に詠まれた歌ですが、ややそのまますぎて面白味に書けます。エアコン=部屋、夏期講習=毎日・机と同義の内容がくり返されているからでしょう。夏期講習をやや具体に、そして真夏の太陽に照らされて汗だくの人と対比をしてみました。

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