白井亨(しらいとおる)

~栃木県宇都宮市 宇都宮といえば…編~

2023.08.18

みなさんこんにちは。
リンスタ社会科担当の白井です。

前回に引き続き、栃木県宇都宮市を取り上げてみようと思います。
長い時間と交通費をかけてやってきましたので、1本で終わらせるのはもったいないですからね(笑)

宇都宮といえば… まずこの地名が気になりますね。
「宮」や「都」の字を使っているせいか、47個ある都道府県庁所在地のなかでも、なんとなく格式が高い感じがする地名ですよね。ただ、初めて都道府県庁所在地を覚える子どもたちにしてみると、この地名は漢字、読みともに覚えにくいようです。
宇都宮の地名の由来になったのは、JR宇都宮駅から歩いて15分ほどのところにある二荒山神社です。この神社の社号(神社の社格を表す称号)が宇都宮なのだそうです。

宇都宮の由来はいくつかの説があるようです。
まずは、二荒山神社が下野国(現在の栃木県)の一宮だったからというもの。一宮というのは、その地域で最も格式の高い神社のことで、例えば現在の東京都と埼玉県にあたる武蔵国の一宮は、さいたま市大宮の地名由来ともなっている氷川神社です。この「いちのみや」が転じて「うつのみや」になったというのです。
でも、一宮は各地にあるわけですから、もしこの説が正しければ全国に宇都宮という地名がありそうですよね。

こんな説もあるようです。上の写真の本殿に祀られている二荒山神社の主祭神は豊城入彦命 (とよきいりひこのみこと)。この人物は、第10代の天皇とされる崇神天皇の子で、天皇の命令によって東国を平定したと言われているそうです。天皇に従わないものを「討つ」ということから「討つの宮」となり、これが転じて宇都宮になったということです。天皇に関係があるのならば、「都」や「宮」の字が使われているのも納得できるような気がしますね。また、平安時代初期の坂上田村麻呂による蝦夷征伐など、関東以北は大和政権と戦った歴史がありますので、この説は納得できるような気がします。その他にもいくつかの説があるようですが、個人的にはこの「討つの宮」に1票ですね。

そういえば、二荒山神社という神社は、同じ栃木県内の日光にもありましたね。世界遺産「日光の社寺」の1つにも登録されていますので、こちらのほうが有名かもしれません。どうやら、日光という地名はこの「二荒」がもとになっているようです。二荒を「にこう」とよみ、それが転じて「日光」になったとか。

さて、宇都宮といえば… 餃子を思い浮かべる人が多いのではないですかね。
宇都宮駅前には、下の写真の「餃子像」があったり、前述の二荒山神社の近くには「餃子ストリート」があったりもします。

では、なぜ宇都宮で餃子が名物になったのでしょうか。
戦前の宇都宮には陸軍の部隊が置かれており、この部隊が1940年以降満州(中国東北部)に駐屯します。戦争が終わって宇都宮に引き上げてきた人々がつくり方を持ち帰ったことで、餃子が人々の生活に浸透していったのだそうです。ただし、これだけで宇都宮が餃子の町になったわけではありません。
宇都宮=餃子というのが定着したのは1990年代のこと。宇都宮市の職員がまちおこしになるものを探していたところ、餃子の購入額は宇都宮が日本一ということを知り、「だったら餃子でまちおこしをしよう」ということになりました。そこから、観光協会によるアピールが始まり、全国的に宇都宮といえば餃子のイメージが定着していったようです。現在、宇都宮市内には約300店もの餃子専門店や餃子を出す中華料理店があるそうで、たしかに歩いていると「餃子」の看板が目につきます。
ただ、このところ餃子の購入金額の第1位は浜松市や宮崎市に奪われていることが多いですね。そういえば、宇都宮市の隣に位置する鹿沼市はシュウマイ推しなのだとか…。
ちなみに、餃子像ができたのは1994年。餃子の町のPRのためにテレビ番組の企画で製作されたのだそうです。

宇都宮といえば…の3つめは「雷」です。
宇都宮は「雷都」という異名を持つほど落雷の多いところです。前回紹介した宇都宮ライトレールの黄色と黒のカラーリングも、雷がモチーフとなっているのです。気象庁のホームページで調べてみたところ、1991年から2019年の雷日数は年平均26.5日。東京は14.5日ですから、確かに多い気がしますね。なぜこの地域は落雷が多いのでしょうか?

上の地図を見てください。
宇都宮市は関東平野の北端にありますので、夏は南から暖かく湿った空気が入ってきます。また、北には那須岳(1915m)などの那須連山、北西には男体山(2486m)などの日光連山があります。地図を見ても険しい山地というのがわかりますね。この南からの暖かく湿った空気が北にある山々にあたることによって雷雲が発生するのです。宇都宮の雷日数の約半分は7月と8月に集中しています。
ところで、みなさんは雷の音というとどんな音を想像しますか? たぶん“ゴロゴロ”ですよね。
栃木県民に聞いたところ、雷の音は⚡パリパリッ ドッカーン⚡なんだそうです(「パリパリッ」はともかく「ドッカーン」って何!?) 
どうやら栃木の雷は、私たちが考えているよりもはるかに恐ろしいものみたいですね…😨
ちなみに、年間雷日数が第1位の都市は、雷都を名乗る宇都宮市ではありません。その都市の1991年から2019年の雷日数は、なんと年平均45.1日もあるんです。それがどこなのかは、ぜひ調べてみてください。ヒントは、この都市の雷が多い季節は宇都宮市とは逆の冬(12月・1月)ということです。

宇都宮市のある栃木県と言えば「いちご」も忘れてはいけませんね。栃木県は、2021年まで54年連続で、いちご生産量日本一になっています。
東武宇都宮線は「いちご王国ライン」と名乗り、各駅の駅名表も下の写真のようなかわいらしいものになっています。今回は見ることができませんでしたが、いちごのキャラクターをラッピングした電車も走っているようですよ。

このイベントは、栃木県が150周年を迎えることを記念するものなので、来年6月までの1年間限定だそうです。見てみたい人はお早めにどうぞ。

「?」はきっとそこにある
「?」を知ればおもしろい!
みなさんも、身近な「?」を見つけて楽しんでみてください。

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