桑名正和(くわなまさかず)

ツユクサ

2023.06.06

 梅雨の季節。朝起きて窓の外は薄暗いかんじで静かに雨が降っています。日差しがないとどうも頭がすっきりしないかんじです。今の時期にたくさん雨が降ることで飲み水とか田畑の水が確保されているという点では大事ですから、ありがたいと思っておかないと。
 そんな時期は街路樹わきや公園に青い小さな花を多く見かけます。

 この青い花はツユクサ。日本に古くからはえているツユクサ科の植物です。
 ツユクサの名前についている「ツユ」は梅雨ではなく「露」。「露(つゆ)」とは空気中の水蒸気が冷やされて水のつぶになってついたもののこと。
 人間のはいた息にも水蒸気がたくさんはいっていますが、その水蒸気は空気にまざってみることはできません。空気中に入る水蒸気には限界があるので、その量をこえると水蒸気が水のつぶにかわります。つぶのまま空気中をただよっているものが「霧」や「雲」です。地上の葉などについたものが「露」です。空気中に入る水蒸気は気温が高い方が多くなるので、夜中から朝にかけて気温が下がってくると、空気中の水蒸気がはいりきらなくなり「露」にかわっていきます。そのせいで、気温の低い明け方に「露」を見かけることになります。と、ここまでが、理科の勉強でよくでてくる水の状態変化の話です。
 さて、ツユクサはその「露」から名前がとられているようで、ツユクサの青い花は午前中にさいていて、昼になるとしぼむ性質があります。午前中だけに多くみられることからツユクサという名前になったようです。

 ツユクサは左右に動物の耳のようなかんじにでる2枚の青い花びらが見えます。花びらが2枚かというと、実は3枚あります。2枚の青い花びらとは別に、下のほうにこぢんまりとした白い花びらです。

 色も形も違う2種類の花びらをつけるというのはめずらしいですね。
白い花びらの上には黄色くみえる6本のおしべ。この6本のおしべも長さがさまざま。一番長い2本が花粉を多く作り、とんできた昆虫の体に花粉がつきやすいようになっています。中央のおしべは飛んできた昆虫がとまる足場のような役割です。
 
 さて、梅雨とからめてツユクサを紹介しましたが、俳句の世界では秋の季語らしいです。
実際咲いている時期は梅雨のころから10月くらいまでとかなり長く、ツユクサは別名「月草」として万葉集にも多く登場しています。

 傘が手放せない季節ですが、足元にある草をながめてみるのもいいのでは。

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