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ヌスビトハギの種子も動物について運ばれる

実りの秋はおいしい果物を楽しむことができるグルメな秋。
リンゴ、ブドウ、ナシなど、様々な果物は見た目も楽しませてくれます。
果物はヒトだけでなく、野生の世界ではクマ、サル、リスをはじめ様々な動物が果物を食べます。

植物の側からすると、いろいろな動物に食べてもらうことによって、種子を遠くまで運んでもらえるので、動物と植物の共生関係ということもできます。

植物が種子を運んでもらう手段はさまざまです。
果実をつくる植物は食べてもらうことで運んでもらいますが、前回紹介したイノコヅチは動物の毛に種子がからみついて運ばれるという、動物からすると知らない間に種子を運ばされていた、とういうことになります。

今回も動物について運ばれる植物の紹介です。
曇り空の公園の片隅に、ピンク色の花を見つけました。

足元付近に、緑色のやや濃い葉と、小さなピンク色の花をつけています。
まわりには黄緑色のくびれの大きなエダマメのように見えるもの。

花に寄ってみました。

いかにもマメ科の植物の色と形です。

という、こちらはアレチヌスビトハギのようです。

小学4年生の理科では各季節ごとに、その季節ごとの植物について扱います。
「秋の植物」の中にヌスビトハギは「動物の体について運ばれる実やたね」の1つとして登場しています。

ヌスビトハギは日本原産なのですが、こちらのアレチヌスビトハギは北アメリカ原産の帰化植物です。
日本原産のヌスビトハギを見つけたいところですが、それはかなわず。
ということで、帰化植物のアレチヌスビトハギを紹介です。
ヌスビトハギはマメ科に分類されているとおり、マメらしい特徴が多くみられます。
まず、ヌスビトハギという名前の中に「ハギ」とついていますから、同じマメ科のハギの花と比較してみましょう。

ハギとヌスビトハギで、花や葉の色や大きさはけっこう似ています。
実際、ハギのほうが1mを超える高さまで成長するのに対して、アレチヌスビトハギは足元に生えているので、そういう意味では見間違うことはなさそうです。

そして、アレチヌスビトハギの特徴はなんといってもさやの部分です。

大量にさやをつけています。
普段料理などで見かけるエダマメ、エンドウマメ、インゲンマメなどさやがついているものがあります。
それらのマメと比べて、アレチヌスビトハギのさやの特徴として、細かい毛がはえていて、その毛がかぎ状になっていて動物の毛につきやすくなっているところです。

アレチヌスビトハギは中の種子ではなく、さや全体が動物の毛のからみつき、運ばれていきます。
たくさんのさやができていましたから、それだけたくさん動物について運ばれていきそうです。

こういった植物は公園の片隅で、特に誰の目に求まることなく(私の目にはとまりましたが)静かに生えています。
日頃生活している中で、気がつかないうちに何かの種子を運んで繁殖を助けているかもしれないですね。

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