白井亨(しらいとおる)

~山梨県南巨摩郡 天国への地獄の階段編~

2024.05.31

みなさんこんにちは。
リンスタ社会科担当の白井です。

リンスタのカリキュラムでは、小6の初めのころに文化史をまとめて学ぶ単元が設定されています。歴史上重要な建築物、文学作品とその作者、絵画とその作者などを、受験生たちは一生懸命暗記をしていきます。
その1つに鎌倉新仏教があり、宗派の名や開祖の名だけでなく、「浄土宗・浄土真宗・時宗は〝念仏〟という共通点、臨済宗と曹洞宗は〝禅宗〟という共通点がある」といった簡単な内容も伝えていきます。そして、そのどちらの共通点にもあてはまらないのが日蓮宗です。
実は、我が家の菩提寺は日蓮宗の寺院なので、南無妙法蓮華経のお経は小さいころから聞いていた記憶があります。もちろん、幼いときにはその意味がわかるはずもなく、ただ「退屈だなぁ。早く終わらないかなぁ」って思っていた記憶しかないですけどね(笑)

さて、その日蓮宗の総本山となっているのが、今回紹介する身延山久遠寺みのぶさんくおんじです。
まずは、久遠寺のある身延町の位置を確かめてみましょう。

身延町は山梨県の南部にある町で、その東には富士山があります。県庁所在地の甲府からJR身延線の特急に乗ると1時間弱で身延駅に到着します。身延駅からは路線バスに乗り換え、久遠寺の入り口に近い身延山バス停まではおよそ15分です。

バス停を下りてしばらく坂を上って行くと、下の写真のような立派な三門があります。高さが20mほどあるこの門は、日本三大三門の1つにもなっているそうです。ところで、寺院の入り口にある門は、普通は「山門」といいますが、久遠寺では「空」「無相」「無願」の三つの境地から解脱して覚りを開くという意味から「三門」とよぶそうです。ちなみに、「空」とは世の中に固定的で不変のものはないと言う考え方、「無相」とはすべてのものを差別しないこと、「無願」とは要求や願いを持たないことだそうですが、少なくとも「無願」は私には無理だと思います(笑)

三門を抜けると、木々の間を石畳の道が伸びています。そして、その先に見えたのが下の光景です。見上げるようなその高さに一瞬たじろぎましたが、久遠寺の境内はこの上にあるのです。階段の左右には坂道もあるので、そちらを使って上ることも可能ですが、この風景を前にして俄かに闘志が湧いてきてしまったのです🔥

境内へと続く287段の階段には〝菩提梯ぼだいてい〟という名がついており、この階段を上り切ると悟りを開くことができるのだそうです。以前に山形県の立石寺(山寺)に行ったことがあり、そのときに上ったのが1015段でした。このことがあったので、「287段くらい余裕でしょ(^^)」などと思ったのが間違いでした…。

この階段、一段一段の高さが高いんです…。

半分くらいまではノンストップで行かれたのですが、だんだんと足が上がらなくなってきました。引き返そうかなと思って下を見ると恐さを感じるくらいの急角度! これを下るのもかなり厳しそうです。もうここまできたら上に行く以外に選択肢はありません。最後の4分の1くらいは手すりにつかまりながらの情けない姿に…。間違いなく人生で一番キツい地獄の階段でした。

息も絶え絶えに登り切った先には、下の写真のような見事に花の咲き誇る境内が…。地獄の階段の先には天国のような美しい風景がありました🌸

この写真の他にもたくさんの花が咲き乱れ、菩提梯を上ってきた疲れを癒してくれたのです。これが悟り…なのかどうかはわかりませんが、大きな達成感があったのは間違いありません。

参拝を済ませた後は、さらに山の上のほうにある奥の院に行ってみることにしました。
徒歩で行かれるルートもあるようですが、一瞬の迷いもなくロープウェイを使うことにしました。運よく窓側の位置に立つことができて外を眺めていると、眼下には山々と富士川の織り成すパノラマが…。これもまた、天国のように美しい風景と言っていいのかもしれません。

辿り着いた奥の院の標高は1000m以上。この日は天気も良かったので、下の写真のように美しい山の景色を堪能することができました。写真上から、富士山、南アルプス、八ヶ岳です。それぞれの山はもちろん見たことがありますが、ほぼ同じ場所からこれらの山々すべてが見えるとは…。がんばって厳しい階段を上ったご利益だと思うことにしました(笑)

最後に訪れたのは、日蓮が晩年を過ごした場所です。下の地図の〝御草庵跡〟が住まいのあったところ、〝御廟所〟が墓になります。
境内や奥の院は観光客で賑わっていましたが、ここを訪れる人は意外に少ないようで、とても静かな雰囲気の場所でした。墓をこの場所に立てることは日蓮自身が命じたそうです。日蓮はとても激しい人生を送ってきた人物です。亡くなるまでの9年間を過ごしたこの場所では穏やかな日々を過ごしていたのでしょうか。だからこそこの地を選んだのだと思いたいですね。

さて、穏やかな気持ちになって帰路についたのですが、バス停に行ってみると次のバスは1時間後! 身延駅までの距離は約4㎞! たぶん歩いたほうが早いと判断し、歩いて向かうことにしました。のんびりバスを待つことすらできないなんて、やはり悟りには縁がないのだろうと自覚したのです(笑)

あっ、そうそう。バスよりも10分以上早く駅に到着したことを、書いておくのを忘れちゃいけないですね😄

「?」はきっとそこにある
「?」を知ればおもしろい!
みなさんも、身近な「?」を見つけて楽しんでみてください。

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