桑名正和(くわなまさかず)

ハスの葉は水をはじく

2023.11.24

 中学受験に必要な知識というのはだんだんと増えてくるもので、私が中学受験をしたときには出てこなかったことも多くあります。社会だと日本の歴史に「昭和」「平成」「令和」と時代が増えていくのがわかりやすいところですが、理科もかなり増えてきています。

 理科では直近の教材改訂で「バイオミメティクス」という言葉がのりました。バイオミメティクスとは生物がもっている構造や機能をヒントにして新しい技術にいかすこと。代表的なところだと注射針は痛いが、蚊にさされるときの蚊の針は痛くない、蚊の針をヒントに注射針を作れないか、といったところです。

 今回はバイオミメティクスとして入試問題の題材にもなったハスについて紹介します。

 池の上に大きな葉を広げたハス、実に優雅なものです。
 ハスはハス科の植物、78月に開花。午前中に花をさかせて、午後にはしぼんでしまうので、花を眺めたい場合は早起きが必要です。
 さて、そのハスがバイオミメティクスの代表として紹介されています。ヨーグルトのフタにつく、ヨーグルトの話です。最近のヨーグルトはフタにヨーグルトがついていないことがよくあります。そのフタこそがハスの葉をヒントに作られたものといわれています。ハスの葉は大きいですが、水をはじく性質があり、その葉の研究からうまれたフタです。

 実際、ハスの葉はどれくらい水をはじくのだろうか、と。ハスの葉に水をのせてみました。

 こちらがハスの葉の上に水をのせた状態。

 実はもっとかけたのですが、びっくりするくらいに水がぽろぽろと零れ落ちてほとんど葉に残りませんでした。こんなに水をよくはじく傘を使いたい。そういえば、ハスを傘にするようなイラストとか見かけますが、実は、ハスの傘は実用性抜群ですね。

 で、葉の上に残った水滴も、葉にくっつくかんじではなく、上に水滴としてのっかっている状態です。葉につかないかんじが想像を超えていて驚きました。葉そのものをさわっても、少しざらっとしたかんじというくらいで、でこぼこしているわけでもないので、この仕組みは不思議。徹底的に葉を研究してヨーグルトのフタに、見事なバイオミメティクスです。

ハスとスイレンは混同されやすいですが、水面に直接うかんでいるスイレンはハスの葉のような水はじきはありません。

 はしのほうは水につかってしまっていますね。

 ハスといえば、植物の冬越しの姿としても登場します。たとえば、アサガオやヒマワリは種子で冬越しですが、さて、ハスは?
 答えは「地下の茎」なのですが、ネタになりやすいところとしてはハスといえば「レンコン(蓮根)」日常生活の食材としてもおなじみの白いあの部分。あのレンコンこそが「地下茎」です。漢字で書くとレンコンのコンは「根」なのに、実は根ではないという話。レンコンにはたくさんの穴があいています。ハスは葉を上に出していますが、レンコンのある部分は水につかっているので、酸素を取り込むための空気が通るための空洞です。

 いろいろと不思議がつまったハスでした。

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