黒田裕史(くろだひろし)

『黒田の「名作の英語表現から学ぶ」』

2022.08.24

「冒頭の一文に仕掛けた作者の意図とは?」

こんにちは。英語担当の黒田です。
このブログでは、名作の中の英文を題材に、いつもの授業とは違った視点で英語を味わっていきたいと思っています。

今回から数回にわたって取り上げる作品は、オスカー・ワイルド作『幸福の王子』です。
高校入試でも長文の題材として使われたこともあります。気になる方はぜひ英語で読んでみてください!

初回は、冒頭の一文です。

High above the city, on a tall column, stood the statue of the Happy Prince.

さて、どうでしょうか? 皆さんが日々接している英文とは何か違いませんか?
通常、英文は、「主語+述語動詞」という語順です。
上の英文はこの語順になっていません。実は「倒置」が生じているのです。

では、意味を理解するために、文の構造を考えていきましょう。
この英文の主語は何でしょうか? 英文において、主語になれる品詞は「名詞」ですね。
早速、英文から名詞を探してみましょう!

名詞は、city / column / statue / Happy Prince 4つです。
しかし、注意しなければならないことがあります。前置詞が前についている名詞は主語にはなれませんでした。
「前置詞+名詞=修飾要素」でしたね。
そう考えると、above the city / on a tall column / of the Happy Prince3つは、前置詞とセットになるので、主語にはなれないということになります。
ですから、英文の主語は、statueだと判断できます。
動詞はstood1つしかありませんから、非常に簡潔に整理して考えれば、The statue stood.(像が立っていた)という文だと考えることができます。

では、なぜ作者のワイルドは物語の冒頭の一文を「倒置」を用いて書いたのでしょうか?
それは、読者の想像力を掻き立て、物語の情景を頭の中で鮮明に映像化させるのを助けるためです。

私たちは英語を訳すときに、日本語らしい表現になるように語順を調整することもあります。
でも、英語を母国語とする人たちは、左から右へ読み進めて、すんなり意味を理解するのです。
この理解の仕方の違いに注意することが重要です。

 今回は、英語を母国語とする人たちと同じように、左から右へと読み進めてみます。
※(  )内は黒田が感じていることです。

High above the city                              「町の上部に高く」        (空から町を見下ろすイメージ)
on a tall column                                    「背の高い柱の上に」    (高さが際立つ感じがする)
stood                                                       「立っていました」        (⇒誰が立っているのだろう?)
the statue of Happy Prince                 「幸福の王子の像が」    (主人公登場だ!)

どうでしょう? 物語の冒頭の場面が目の前に広がってきませんか?
クローズアップして幸福の王子の像に迫っていくカメラワークを感じて、わくわくしてきませんか?
このあと、もう1人(羽)の主人公である「つばめ」が登場します。つばめの視点で、私たちに物語を体験するように教えてくれているのかもしれません……。

英文から作者の思いや狙いを感じられると、物語もより豊かに感じられますね。今後もこうしたちょっとしたことを英文の中から見つけて、皆さんに紹介していきたいと思います。

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