熊代大地(くましろだいち)

リンスタ生の質問コーナー3 電車内でジャンプしても同じところに着地するのはなぜ?

2023.05.23

はいどーも!熊代です。

しばらくは質問コーナーシリーズを続けて参ります。
3つ目はこちら。

 

①『走っている電車の中でジャンプした時同じところに着地するのはなぜですか?』
②『自分も電車と同じスピードでジャンプしているからですか?だとすると、電車が時速60kmくらいで走っているとしたら、もし突然ジャンプ中に電車が完全停車したら、時速60kmで自分が壁に衝突するんですか?その時の衝撃ってどのくらいなんですか?』
By 中3最難関高校入試対策コース K・Bさん

さすがリンスタ中3生ですね。
ちゃんと自分の「仮説」を立てているのが素晴らしいところですね。

確かにとても気になるところです。
これらは、リンスタのカリキュラムでは中3の7月になると学習する内容で、力学における「慣性」という物体の運動の性質に沿って考えていきます。

 

まず、電車に乗っているとき、「自分も電車と同じスピードで」移動している。この部分は正しい考えです。
ですから、仮説の通り「電車と同じスピードでジャンプしている」ため、電車内では同じ地点に着地することになります。

図で考えてみましょう。

これらの考えを図示すると↑のようになりますね。
地点Aでジャンプすると、ジャンプしている間も電車と同じスピードで進行方向に移動することになりますから、地点Eに到達した時点で、電車の元居た位置に着地するわけです。

このように「運動している物体に外部から力が加わらないとき、同じスピードで運動をし続けようとする性質」のことを「慣性」と言います。

間の電車を非表示にしてみましょう。

地点Aから地点Eにジャンプしたようにも見えますね。
つまり、やっていることは「走り幅跳び」と変わらないということです。
走り幅跳びも、助走をうまく活かせると遠くまで跳ぶことができますね。

 

 では、質問の②の方はどうでしょうか。

『もし突然ジャンプ中に電車が完全停車したら』なんて、恐ろしい考えですが笑
ここまで読んで、慣性のイメージが頭に浮かんでいる人にはもう答えがわかるのではないでしょうか。

そうです。その考えの通りだと思います。

図で確認してみましょう。

















どかーん!

となります。もちろん衝撃は「時速60kmの車に衝突される」ほどになります。

これらは、ジャンプ以外にも応用されます。
例えば…

・電車内でつり革にぶら下がっても体が後ろになびかない。
・電車内でボールを上に向かって投げると、手元に落ちてくる。
・電車内でドローンを飛ばしてホバリングさせると、その場に浮いた状態になる。

ボールやドローンは、電車が発車する前に飛ばしておくと、発射とともに後方に移動します。
電車の速度が変化することに影響するわけですね。先ほどの衝突の逆バージョンです。

 

せっかくなので次のことを考えてみましょう。

問.電車が時速60kmで走行中、電車の進行方向とは反対側に向かって窓からボールを時速60kmで発射した場合、ボールはどのように動くか。

これもまた難しそうですね。

先ほどの図をベースに考えてみましょう。

・左の進行方向に向かって時速60kmで移動している。
・ボールは右に向かって時速60kmで発射する。

ちなみに、時速60kmで進行中の電車内から、反対方向に時速60kmで向かってくる別の電車を観察した場合、互いに時速120kmで近付いてくるように見えます。
これは小学校の算数の応用ですね。

 

では今回はどうでしょうか。
こちらも図示して考えてみましょう。

















どうでしょうか。考えていたことと一致していたかな?

これも中3物理の内容ですが、物体が運動するためには「エネルギー」が必要です。

つまり、
・左に時速60kmで運動するエネルギー
・右に時速60kmで運動するエネルギー
これらが相殺されて、エネルギーが「0」となるため、ボールはあたかもその場で手を離されただけのような動きをするわけですね。

 

ちなみに、真下(鉛直方向)に落ちるのは、地球の重力に引かれているためです。
無重力空間であればその場で留まることになります。

 

 

さて、K・Bさんいかがだったでしょうか。
これらは実は、我々が地球表面で生活可能であることと同じです。

地球はなんと、時速1700kmというとんでもない速さで自転しています。

その表面に生きる地球人は、宇宙空間を時速1700kmで移動しているということになります。

でも、ジャンプしてもその場に着地できますよね。
これは体が、時速1700kmで移動しているからこそです。地球の自転のエネルギーによって慣性が生じているのです。

 

 

すると、もし、

突然地球の自転が止まってしまったら……????

 

 

…おっと、
今は恐いことを考えるのはやめておきましょう笑
それでは、また次回!

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