熊部翼(くまべつばさ)

「前」って過去?未来?

2022.08.20

こんにちは。熊部です。

『算数文章題が解けない子どもたち ことば・思考の力と学力不振』という本を読みました。
「国語の読解力はどの科目の問題を解くにも重要である」という通説があります。「ウチの子は読解力がないから計算はできるのに、文章題になると全く解けなくて…。」という声もよく耳にします。
本書には認知科学の専門家である著者の「読解力がないから文章題が解けない」で終わりにせず、なぜつまずくのかを明らかにすると言った試みが書かれ、目から鱗が何枚も落ちる一冊です。

さて、本書の中で興味深かったのが以下の内容です。

「何十年も前のできごとを振り返らず、未来を向いて前進していこう」というようなことを大人はよく言うし、聞いても特に違和感をもたない。しかし、この1つの文に、矛盾した時間モデルが使われていることに読者はお気づきだろうか。

引用元:今井むつみ『算数文章題が解けない子どもたち ことば・思考の力と学力不振』(2022)

確かに、私たちは1日前、1時間後など、過去のことを表すときに「前」、未来のことを表すときに「後」と言う言葉を使います。一方で、未来に向かって「前進」しているイメージがあり、振り返ると「後ろ」には過去があるようなイメージも持っています。
もっと複雑なのは「先」という言葉です。「先週」は過去を表します。一方で、「一週間先」は未来を表します。
どうやら、時間を表す表現には自分が時間の流れと一体になって進んでいくイメージと流れている時間を外から眺めるイメージの両方があるようです。
大人はこうした言葉を無意識の内に使いこなしていますが、実は子どもたちにとって、これらの言葉を適切に使いこなすことは簡単ではないのかもしれません。

言葉についての学習というと、新しく知らない言葉をどんどん習得していくというイメージがあるかもしれませんが、実は、無意識に使っている理解しているつもりになっている言葉を本当の意味で理解することの方が難しいのかもしれませんね。
言葉を深く理解することについてはどこかの機会で書きたいと思います。ではまた。

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