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【教育コラム】2022年 私国立中受験概況(社会・理科)

2022.06.28

去る35日に実施された『2022年度 最難関・難関中学受検合格セミナー』より、社会・理科教科担当からの問題傾向報告及び学習の内容をまとめました。今後の学習の参考にしていただければ幸いです。

 【社会 問題の傾向】
100校以上の入試問題より今年の傾向を整理すると全体的に最近の問題はやさしくなってきていることがわかります。レベル別傾向では基礎知識を問う問題が全体の4分の3を占めています。また、基礎知識を用いたグラフや資料の読み取りに関する問いも増加傾向にありますので、言葉だけではなくグラフや写真などにも目を向ける必要があります。分野別傾向では地理、歴史、公民の3つの分野を合わせると90%以上を占めていることがわかりました。つまり、難問奇問ではなく、普通の問題を正確にとれるよう、テキストの学習内容をしっかりと理解することが重要になります。時事問題に関しては『コロナ関連』『環境問題』『エネルギー関連』『SDGs』が多く出題されており、特に今年のトピックとして目立ったのは『ジェンダー』です。全体的に『社会的弱者に目を向けよう』というメッセージが大きく見受けられました。

次に、設問形式別の傾向に関しては、選択式が最も多く約40%、次に多かったのは語句に関する問いで30%以上を占めています。選択式問題で注目したいのは、複数選択問題です。複数の答えがあるもの、また答えの数がわからない問題は難易度が上がります。例えば桜蔭中学校では文の正誤の組み合わせを判断する問題が出題されており、こちらに関してはより正確な幅広い知識が必要となります。また、記述式の問題に関しても①原因と理由、②資料の読み取り、③用語の意味に関して、と幅広く出題されました。例えば、聖光学院中学校ではある神社に本殿がない理由を記述式で答える問題が出題されました。このような内容はテキストには書かれていません。しかし、世界遺産に登録された富士山を関連させて、考えられると答えることができます。また、海城中では 歴史に関して長文と資料を参考にして、事象の理由を130字以内で説明する問題がありました。つまり、社会の学習において、テキストは考えるための基礎知識を身に付けるものであり、丸暗記しても通用しないのが今の入試問題なのです。

今年の入試の傾向より、今後の学習に活かせるポイントをご紹介します。
【社会 学習のポイント】
①速く正確に基本知識を導きだす力をつける。
『覚える』のではなく『理解する』ようにしましょう。覚えるためのコツは『何・なぜ・だから』の3ステップです。この3ステップを意識できると知識が繋がります。
②速く正確に文章を読解する力をつける。
授業中は常に鉛筆をはなさず、重要なことはメモを取る訓練をしましょう。それが、文章の読解力に繋がります。
③知識と知識を結び付ける力をつける。
日常生活を含め、常に『なぜ?』という視点を持ちましょう。『なぜ?』と疑問に思うことが社会を楽しむことに繋がります。
④資料を観察し、分析する力をつける。
地理はグラフやデータを用いる問題が多く出題されます。グラフの変化に注目し、それはなぜ起きたのかを考えてみましょう。というわけで、日頃より地図帳やテキストの資料も『なぜ?』の視点をもち考える習慣が大切です。
⑤文章で表現する力をつける。
言葉の説明を『文で』『文を』『自分の考えを』書く訓練をしましょう。公民分野では記述が特に重要ですので、基本的な穴埋め問題から説明する練習から始めてみましょう。中学校の先生は学校の教科書をしっかり見ています。学校の教科書にしか載っていないこともあるので、学校の教科書の内容もしっかり読んでおきましょう。

【理科 入試傾向】
物理、化学、生物、地学の4分野からバランスよく出題する学校が例年通り多くありました。各学校で各分野の担当の先生が問題作成に当たっていると考えられます。それぞれの分野で頻出単元は次の通りです。①物理分野は、力学(てこ、ばね、ふりこ、浮力)、電流。②科学分野は気体、水溶液、燃焼。③生物分野は植物、動物、人体。④地学分野は気象、天体、地球(地震、火山、岩石)。つまり、小5で学んでいる単元も多く含まれており、小5の段階でも解ける問題も多数あります。特に実験などは、絵などに描いてイメージして覚えることが重要です。

一方、天気、気象に関する出題は近年増えています。立教新座中学校の『熱中症警鐘アラート』明治大学付属明治中学校の『フェーン現象』淑徳与野中学校の『暑さ指数』など、多くの学校で今年も出題されました。2021年のニュースに関しても多くの学校で出題されています。市川中学校、慶應中等部、立教女学院中学校では『皆既月食』、雙葉中学校では『火山噴火』に関してそれぞれ出題されました。そして、やはり新型コロナウィルスに関連する問題も出題されています。麻布中学校では手洗いや手指のあるコース消毒をすることの理由を記述式で問われています。また、早稲田中学学校ではワクチンに関する問題が出題されました。ニュースに関しては例年前年の夏位までに起きた事象から出題される傾向が高いので、ニュースへの関心も重要です。

今年の入試の傾向より、今後の学習に活かせるポイントをご紹介します。
【理科 学習のポイント】
①基礎知識を持っている前提で問題は出題されている。
基礎知識に関してはすらすら言えて、説明できることを心がけましょう。理科は知識の出題より、思考力型が多く出題されます。知識量は多くないため、覚えるべきことはしっかりと覚え、思考力等の土台をしっかり築いていきましょう。
②自然現象を考えられるようにする。
日頃より、生活の中で疑問に思い、原理、仕組みを考えるようにしましょう。
③ニュースをもとにした出題がされる。
ニュース、天気予報などを見ると、そのまま入試で出題されることもあります。日頃より注目するようにしましょう。日食・月食・化石・火山噴火・地震・台風などは特に意識してみてみましょう。
④計算力が試される。
日ごろからの算数の計算学習を丁寧に行いましょう。理科に関する計算も算数の計算がしっかりおさえられていれば問題ありません。
⑤その場で読む力が問われる。
入試では全く知らない話が初めて出題されることもあります。その場で読み、その場で考える『瞬間的な判断力』を求められるため、日頃より新しいテーマに触れる時間を作ることが大切です。ただし、そのためだけに長い文章を読む必要はありませんので、教科書などを丁寧に読む習慣を身に付けましょう。

※国語・算数に関しては2022年 私国立中受験概況(国語・算数)をご覧ください。

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